童謡『クラリネットをこわしちゃった』の秘密


2015-12-04_114617

外国の歌を日本語の歌詞に訳す場合、原詞とはかけ離れた詞になる場合が少なくない。

その理由のひとつは、日本語に正確に訳した場合、音符に乗りにくい言葉になってしまい、意訳してしまう誘惑に駆られる。もうひとつは、詩の内容が日本の今の評価に耐えられる表現でありたいという気持ちを抑えることができないことが原因のようだ。

実はフランスの童謡『クラリネットをこわしちゃった』も、こうした訳詞者の意訳で作られており、そればかりか、原詞は童謡としてふさわしくない卑猥な表現であることが判明し、現在では一種の「発禁」状態に置かれている。

歌詞の大幅な変更

フランス語のオリジナルバージョンのタイトルは「私はドの音を無くした(J’ai perdu le do=ジェ・ペルドュ・ル・ド)」という子供向けの行進曲。詞の意味は次のようになっている。

『ボクのクラリネットのドの音が出なくなった パパが知ったら おまえはリズム感がない ダンスもできないのかって言うんだろう・・・』

フランス語の歌詞では、出ない音はタイトルどおり「ド」だけ。それに引きかえ日本語訳では、初期段階で「ド」「レ」「ミ」の音が出ない。そして最終的にはすべての音が出なくなるのだ。

詞の表現としては翻訳の方が面白く、童謡としてのコミカル性が魅力的だ。しかも「どうしよう」は、失くしたはずの「ド」の韻を踏んでおり、アイデア勝ちの面もある。

しかしこれだけなら良かったのだが、とんでもないところで足元をすくわれることになった。

童謡失格の烙印

古くから親しまれてきたこの歌。なんと衝撃の事実が発覚し、無残にも童謡失格の烙印を押されてしまうことになる。昔から慣れ親しんでいるこの名曲に、思いもつかない真実が秘められていたのだ。

2006年、小学校の音楽科の授業などで歌われているこの童謡を調査した国立芸術大学は、「クラリネットをこわしちゃった」の歌詞に性的な含意があると指摘した。

この詞が成立した当時のフランスでは、クラリネットには召使いの意味があり、召使いである女中や下女は主人に求められれば性的な仕事にも奉仕したという。つまりこの詞の本来の意味は「領主である父親から女を譲られた息子が、性的暴力を働いた」ことを意味するというのだ。

これを受けて全国の教育委員会は「小学生には早すぎる内容」として、教科書・副読本などの該当曲の削除を検討し、全国の小学校へとりあえずこの童謡の歌唱を避けるよう通達した。

事実、この詞の聞かせどころであるサビに当たる歌詞は、

『おっぱい、毛、マラ、おっぱい、毛、マラ、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、』

訳詞者は知っていたはずなのだが、この部分はあえて「意訳」してしまっていたわけだ。

フランスに行って、唯一この童謡を知っているからといって“この童謡を歌ってはいけない”。でも案外、こうした意訳はごろごろしているのかも。

信じるか信じないかは貴方次第。

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