離島の土俗宗教!カニバリズムの儀式を行う?密教・クロ宗の集落

2015-12-01_121058

高い塀で外界と遮断された信徒の家

鹿児島県の東岸から40㎞あまりの東シナ海に位置するK島列島。人の住む3島を合わせて6000人あまりの人々が暮らす離島である。奈良時代には、甑隼人なる人々が暮らしていたことも記録されている島で、古来より南九州の海上交通の要衝として、あるいは漁業の盛んな地として栄えてきたと伝えられている。

スポンサード リンク

また、ここは時の権力争いに敗れた人々が流れ着く島でもあった。島内には、源頼朝の死後、北条氏との戦いに敗れた梶原景時の息子、景季の一族のものとされる墓がある。また、楠木正成の弟、楠木正行の墓も祀られている。正行は正史では兄と共に湊川の戦いで戦死したと伝えられている。どうもこの島には、記録されることのなかった歴史の闇が数多く眠っているらしい。

そんな島のある集落に、クロ宗と呼ばれる特殊な土俗信仰が存在する。今では、その信仰を続けているのは、わずかに20戸ほどの家に過ぎないとされるが、その実態は明らかではない。クロ宗を信じる家は、ある地域に集まって暮らしているのだが、島の人々はその存在に固く口を閉ざす。実際に、クロ宗を信仰する人々の家は塀を高くし窓すら見えないようにしているのだ。まるで、家の中を見られることを強く拒否しているとしか思えない。

キリスト教が土着化し異様な宗教へと変質した?

この宗教は、数少ない研究によればキリスト教が土着化した宗教ではないかと考えられている。K島には、キリスト教に関わる伝承も数多く残されている。江戸時代初期には、宣教師が来航してキリスト教を広めて信者を増やしたが、やがて弾圧によって多くの信者が処刑されたと記録されている。また、島内には「天上墓」と呼ばれる墓所があるが、これはザビエルの通訳者だったヤジロウの墓であると伝えられている。

こうした伝承をパズルのように組み合わせていくと、次第にクロ宗の実態が明らかになっていく。K諸島の島々には、弾圧後も生き延びた隠れキリシタンに加えて、島原の乱後に生き残った信者たちが、幕府の目の届きにくい島へと逃れてきて、隠れ住んでいたのだ。島に辿り着いた隠れキリシタンたちは、弾圧をかわすために様々な方策を考えた。それは、信仰を土着の宗教と同化させていくことだった。

現在でも、長崎県の一部にはキリスト教の信仰が源流にあると考える神社が存在する。こうした信仰に共通しているのは、カモフラージュだったものがいつしか、一つの宗教になっていること。本来のキリスト教の教えは失われて、異様な信仰となっていることだ。

スポンサード リンク

次々に秘密宗教が発見されるが……

K島の場合は、特に奇妙だった。彼らは、島の信仰の違う人々と同化することをせずに、土着の宗教であると見せかけながら信仰することを選んだ。その結果、時代を重ねるごとに秘密結社的な性格は強まり、キリスト教にはあり得ない信仰へと変わっていったのである。

今でもクロ宗が、どのような宗教かを具体的に知ることはできない。というのも、信者たちは信仰は命を賭しても口外しないというからだ。ゆえに彼らがどのような神を崇め、経典を持っているのかは21世紀になった今でも明らかではない。

しかし、何人かの研究者たちは、この信仰の実態を探ろうと試みた。というのも、対岸の鹿児島県には、戦後になりいくつかの秘密宗教が現存していることが発見されたからだ。旧薩摩藩では、戦国時代から明治初期まで300年あまりにわたって浄土真宗が激しく弾圧されてきた。

その弾圧は苛烈で、薩摩藩は信者を見つけては、激しい拷問を加えて処刑を繰り返してきた。それでも浄土真宗の信者たちは、山中の洞窟に念仏洞を設けて、信仰を絶やさなかった。この信仰は「隠れ念仏」と呼ばれ、現在でも信仰として続いている。

さらに、この信仰が独自の発展を遂げたとされるのが「カヤカベ教」と呼ばれる秘密宗教だ。この宗教は、戦後になって存在することが発見されたという、本物の秘密宗教である。

ある日、信者のいる土地に赴任した小学校教師が、どうしても牛乳を飲まない子供の自宅を訪問したところ「うちの宗派では、生臭物を取らない日がある」と告げられたのが、きっかけであった。この宗教は、鶏肉や牛肉を食べることを禁じたり、肉食をすべて禁じる日もあるなど、日本では珍しい戒律の厳しい宗教であったことが明らかになっている。

こうして、日本では研究者の手により秘密宗教の実態が次々と明らかになったにも関わらず、クロ宗だけはいまだに実態が明らかになっていない。それだけ、信者が秘密を頑なに守り続けているのだ。

カニバリズムの儀式も!

噂が一人歩きする そのためか、クロ宗には、様々な噂が一人歩きする。一人の信者が死に瀕すると周囲の信者は集まり、まだ生があるうちに瀕死の宗徒の体から血を抜き取り、集まったすべての信者がその血を飲む、あるいは、生き肝を取りだし食べることもあるそうだ。そして、残った遺骸をぐるぐる巻きにして運び出し埋葬するという。

現代的な視点から見れば、カルト宗教としか思えないが、クロ宗を信じる地域ではそれが正常なこととして信じられているのだという。こうした噂が、まことしやかに伝えられるのも、秘密性の高さゆえだろう。オカルト系の書物では「K島のクロ宗」といった表現で、噂をさも真実かのように描き、毒々しさを煽っているものも数多く見られる。

ここまで秘密性の高さが維持されているのは、離島であるがゆえだろうが、隠れ念仏やカヤカベ教の秘密主義が緩み、戒律もおだやかになっているのと、大きく違うことだ。

しかし、K島も過疎が進む中で信者の数は、次第に減少しているというから、いずれクロ宗は秘密のまま消滅してしまうかも知れない。

スポンサード リンク

信じるか信じないかは貴方次第。

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ